皆さんこんにちは。AAの佐藤です。今回も物理学の面白さについて話します。さて、今回は宇宙に無数にある星の距離の測定の方法について話します。
ところで皆さんは、我々の銀河(天の川銀河)の中にはいくつ太陽のような恒星があるか知っていますか?
何と2000億個もあるそうですよ。ありすぎて意味が分かりませんよね。ちなみに宇宙はとてつもなく広いことから、2000億個もの恒星がありながらもスカスカな構造になっています。
さて、早速距離の測定について話します。メインの測定方法は5個あります。それぞれの測定方法には測定できる限界の距離があるため、この5つを活用して距離を測定しています。
① 年周視差
地球の公転を利用した測定方法。半年ごとに惑星の観察をし、その際の年周視差θ(角度のずれ)から、距離を計算する事ができる。
L=R/θ (sinθ~θと近似)
R:地球と太陽の距離 L:測定している恒星までの距離
このような計算式で計算しており、望遠鏡の性能にもよるが、おおよそ100 pc (天の川銀河くらい)を測定できる。
星の明るさの指標として、みかけの等級m, 絶対等級M, 恒星までの距離r, としたとき、
m-M=5log₁₀R -5
より計算できるが、実は絶対等級を求めることが非常に困難で、みかけの等級は求める事ができることから、もしも絶対等級を求める事ができれば恒星までの距離を測定できる。したがって、以下の方法では、それぞれ絶対等級の求め方となる。
② 主系列星のHR図を用いた方法
この方法では、50 pc(大マゼラン星雲)ほどまで適応できるものであり、過去の観測データから、みかけの等級と絶対等級には相関関係(HR図)があり、みかけの等級を測定することで絶対等級が決まるため、恒星までの距離を求めることができる。
③ ケフェイド型変光星
恒星は輝いているが実は輝いている星の中には変光星といって、明るさ周期的に変動している恒星がある。過去の観測結果から、絶対等級と変光星の周期には強い関係性があり、周期を測定することで絶対等級を計算する事ができる。
M= -1.371 - 2.986 logT
T:周期
上記の式を用いれば安易に計算できる。
これにより、15 Mpc(5000万光年)程度まで測定できる。
④ タリ―・フィッシャー法
渦巻の形をした銀河は実はとてつもなく速い速度で回転している。そして、地球は回転面の中心に存在していないことから、地球に対して近づくパターンと遠ざかるパターンの二つがある。このことから、ドップラー効果が発生する。このことから様々な測定をしたところ、絶対等級と速度幅(遠ざかる速度―近づく速度)には関係性があり、
M=a logΔv + b
Δv:速度幅
この計算式から絶対等級が計算できる。
この方法により、100 Mpcまで測定できる。
⑤ 1a型超新星を用いた測定法
恒星は超新星爆発を起こすが、この超新星爆発にはいくつかのパターンが存在する。そのうちの1つ、1a型の超新星爆発が起こったとき、距離を計算できる。1a型の超新星爆発の特徴としては、爆発を起こすときの質量が太陽の1.4倍ほどになることが知られており、爆発の規模や明るさが一定である。このことから、複雑な計算をすると絶対等級が計算できる。
この方法により、いくらでも遠く(超新星爆発が検出される距離)の恒星の距離を測定できる。
以上が主要な恒星までの距離の測定方法である。
今回はすごく長くなってしまいましたが、最後まで読んでくれた方、ありがとう。
興味があれば私に声をかけてください。